小次郎独演会

こんにちは、小次郎です。凡夫の独り言です。

アン・マクルズの小説


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手帳は鉛筆でマイクルズの文章を写しております 写マイですかね


アン・マイクルズの小説『儚い光』(Fugitive Pieces)
やっと読み終えました
終えたと言うより 始まったと言った方が良いように思えます
新しい言語の世界を見てしまった 
記憶の中の世界をこのように宗教画の
精緻で神々しく あるいは恐怖と残虐 人類史上稀に見る凄惨さを
描いた小説 遅速な読み方で散文詩を一応最後まで 
読旅できました

2001年に図書館で『儚い光』を発見して読み進めたのですが 
どうしても最後まで読みきる事が出来ずに 途中で止めてしまいました
あまりにも重く ホロコーストの詩的世界をイメージしてしまい
これはダメだ もっと後で読もう 
もっと大人に成ってから(十分大人でしたが)
と その当時の気持ちです

その後 POEMS を購入して 原書で読み進めたのですが これも頓挫し
この詩集は日本語訳には出来ないな と言語の壁を思い知らされました
まあ 能力が無いことは分かっていたのですが 所謂 イッチョ噛み
(挑戦とも言います)の性格ですから 何事も当たって砕ける精神主義
が常に前に出てくる構造に 今は笑っております

で この詩で書かれた小説ですが
姉のベラが記憶の中に何度も現れる そしてベンが見たミケーラのメモ

   女の子なら、Bella
   男の子なら、Bela

この計算された言語世界に驚嘆するしかない このような世界を
表現を 詩的構築物を小次郎は知らない 

今回も図書館から借りて来て読んだのですが
この書物は 手元において何度も何度も読み進めるべきものである
ランボー詩集 方丈記 おくの細道 霊訓等々 枕元に置き
夜な夜なイメージに殺されて行く自分 あるいは 救われて行く自分
そのような書物であるのだろう と

13年後に書かれた第二作 『冬の眠り』 The Winter Vault

   この地球のどれくらいが人間の肉だろう
   これは比喩的な問いではない 何人ぐらいの人間が
   “地球の土に混じっているか” という問いだ
      ・・・・・・・・・・・
   この地球の幾分かは 人間の肉である と

ここまで来て アン・マイクルズの求めている領域 匂い が
垣間 一瞬 見えた様な錯覚の感覚を覚えました
この方の表現力に ただただ脱帽しているだけでなく 盗み取る
あるいは真似して近づく そんな姿勢もありかな
言語は違えど 言葉の海原の旅を続けているものである以上 
マイクルズも同じ旅人であり

ねぇ お茶飲まない もありです