小次郎独演会

こんにちは、小次郎です。凡夫の独り言です。

安部公房について少しばかり



先日 社員食堂のおばさん作家 山口恵以子さんをテレビで知り
早速図書館で借りて『月下上海』を読みました
ドラマの様な軽いタッチの小説で 時間つぶしには最適じゃないかな
2作目も何か無いか と山口の“や”のところを図書館で物色
していましたら カリンさんの 安部公房を見つけてしまいました


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昨年話題になった本です
小次郎は発売当時 内容はだいたい知っていたのですが
あえて読みたい とは思っていませんでした
安部公房山口果林が・・・ちょっと そんなん止めて欲しい
佐藤春夫 永井荷風 太宰治なら似合っているが
夏目漱石 芥川龍之介 高村光太郎 に愛人が似合わないように
安部公房にも似合わないのじゃないか 生理的な嫌悪感が
その事実に先行した と思っております


で一応全部は読みましたが 山口果林さんについてもテレビ画面
のイメージからさほど遠くは無いのですが こういう人物か
と認識を新たにしました
繭子ひとり の時の感じは薄らと記憶にあり あの時妊娠していたとは
そんな告白をするところに何の意味があるのか
どうも分からない
このような女(ひと)のもとで 最後を過ごしていた安部公房
その事実をあばかれ それで良し と本当に思うであろうか
小次郎としては 墓場まで持って行って欲しかった


45年前 無名詩集が無性に読みたくなって
探しまくり 安部公房全集の001にあることを知り 中古本
を購入しました



 祈り


 神よ
 せめて一本の 木の様であって下さい
 夕ともなれば
 拡って行く影と共に
 宇宙の影に融けて行く
 果樹園の実りの様であって下さい
 或いは熱にうなされた額の上で
 跡もなく消えて行く一ひらの
 雪の様であって下さい
 僕達はあなたのまはりで
 出来得れば
 日々に耐え 影の動きに
 移ろって行く時の様でありませう
 せめて限られた樹液の中で
 音もなくいとなむ流れでありませう



枯れる事のない 透明な泉を持っていた精神に
意外性はやはり似合わないのじゃないかと これは
小次郎だけの思いかな・・・ 
例えスケベ親爺であったとしても


オイ カリン わしが死んだ後 暴露本は厳禁であるぞよ


ぐらいの配慮はして欲しかったと 思いますが・・・