安部公房について少しばかり
先日 社員食堂のおばさん作家 山口恵以子さんをテレビで知り
早速図書館で借りて『月下上海』を読みました
ドラマの様な軽いタッチの小説で 時間つぶしには最適じゃないかな
2作目も何か無いか と山口の“や”のところを図書館で物色
していましたら カリンさんの 安部公房を見つけてしまいました
昨年話題になった本です
小次郎は発売当時 内容はだいたい知っていたのですが
あえて読みたい とは思っていませんでした
安部公房にも似合わないのじゃないか 生理的な嫌悪感が
その事実に先行した と思っております
で一応全部は読みましたが 山口果林さんについてもテレビ画面
のイメージからさほど遠くは無いのですが こういう人物か
と認識を新たにしました
繭子ひとり の時の感じは薄らと記憶にあり あの時妊娠していたとは
そんな告白をするところに何の意味があるのか
どうも分からない
このような女(ひと)のもとで 最後を過ごしていた安部公房は
その事実をあばかれ それで良し と本当に思うであろうか
小次郎としては 墓場まで持って行って欲しかった
4・5年前 無名詩集が無性に読みたくなって
探しまくり 安部公房全集の001にあることを知り 中古本
を購入しました
祈り
神よ
せめて一本の 木の様であって下さい
夕ともなれば
拡って行く影と共に
宇宙の影に融けて行く
果樹園の実りの様であって下さい
或いは熱にうなされた額の上で
跡もなく消えて行く一ひらの
雪の様であって下さい
僕達はあなたのまはりで
出来得れば
日々に耐え 影の動きに
移ろって行く時の様でありませう
せめて限られた樹液の中で
音もなくいとなむ流れでありませう
枯れる事のない 透明な泉を持っていた精神に
意外性はやはり似合わないのじゃないかと これは
小次郎だけの思いかな・・・
例えスケベ親爺であったとしても
オイ カリン わしが死んだ後 暴露本は厳禁であるぞよ
ぐらいの配慮はして欲しかったと 思いますが・・・